那珂太郎著『宙・有 その音』について

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仁荷大学校の王淑英先生をお招きしての特別研究会(11月23日)の冒頭で、西川がお話した本についての問合せがありましたので、研究関連資料として改めてお伝えいたします。
『宙・有 その音』那珂太郎著 花神社刊(¥3000+税)が、発刊されました。那珂太郎さんは日本を代表する詩人のひとりであり、「詩人としての大岡信」の第一発見者でもあります。今年お亡くなりになり、遺稿集としてこの本が出版されました。編集は運営委員でもある大久保憲一さんです。
興味深いテーマが満載ですが、とくに那珂太郎と大岡信の対談が刺激的です。那珂さんは、萩原朔太郎の研究家として名高く、この対談の時期(1978年)に萩原朔太郎全集の編集を終えられました。大岡信は、このあとに『萩原朔太郎』を書くのですが、対談の中でも朔太郎の短歌を取り上げて二人で語り合う場面があり、後日の朔太郎論へアプローチとひらめきが感じられて興味深いです。
 那珂太郎さんは、詩人ですが俳句も詠まれていて、この本でも40ページにわたって俳句作品を掲載。運営委員の長谷川櫂さんが読売新聞朝刊で連載している「四季のうた」では、11月初めに10句連続、那珂さんの俳句を取り上げました。本の帯には、三浦雅士氏が、「那珂太郎は戦後詩において詩と思想をひとつにした詩人である・・・」と熱く語っています。

白障子あくれば虚空に通ふらし 太郎

 大岡先生とふたりで大学のキャンバスを歩いていたときに突然、「向こうからやってくる人知ってる?」「いいえ」「詩人の那珂太郎さんだよ」と言われました。会釈しながらすれ違う那珂太郎さんの笑みを、私は今でも記憶しています。(西川敏晴記)

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